ツールド福岡  レポート

期間
2011年11月19日〜20日

監督 
秋田 謙  (京都産業大
サポート 
中村 一樹 (京都産業大
選手
中根 英登 (中京大
榊原 健一 (中京大
小村 知之 (環太平洋大)
中西 重智 (龍谷大)
鍵本 大地 (京都産業大


西日本学生自転車競技連盟に依頼があったのか定かではないが、10月某日『ツールド福岡』への参戦依頼を西日本学連から受けた。
連れて行く選手の選考も任せていただけることを条件に、僕は引き受けた。
賞金が高いと聞いていたので、動ける選手を中心にスプリンターを一人入れる。
全日本学生クリテの上位陣(鹿屋は単独参戦のため除く)に、ウチのスプリンター鍵本をいれたメンバーでの参戦。
シマノレーシングや愛三レーシングのいない今大会では、そこそこの成績を期待しての参加だ。
特にマトリックス、ブリッツェン、ニッポといったコンチネンタルチームや鹿屋大といった有力チームの隙を突いた走りに終始すると思われた。

18日に中京大の中根と榊原が京都入り。限られた予算での参戦の為、名古屋から京都までは自費での移動とさせてもらった。
19日6時半、鍵本とサポートの中村を迎えに行き、中西と合流して京都を出発。
誰も助手席に座りたがらないので、無理やり中根を助手席に置いた。
宝塚の渋滞に苦しめられながらも、10時半には岡山県で待つ小村と合流。
小柄なこの男は今回のムードメーカー。寒いギャグを車内に撒き散らす。
九州に上陸し、ホテルに着く頃には時計の針は4時を回っていた。
もう辺りは暗くなり始め、さらに小雨もパラつく。
選手達は他チームからローラーを借り、移動の疲れを抜いた。
レセプションのパーティにサポートの中村と参加。手作り感のあるこのような大会が僕は好きだ。

ホテルに戻り選手達とミーティング。
明日のタイムテーブルについて説明し、走り方についての話しもした。
鍵本と中根はゴールを狙う。榊原は周回賞を狙い、中西と小村はそれらのサポートに回るという内容で落ち着いた。
特に榊原は調子のよさをアピールする。
いつもとは違うチーム編成に選手達も興奮を隠さない。
20日
朝から冷たい風が吹く。
選手達は必要以上にプラクティスに時間と体力を費やす。
特に中根と小村は、最終コーナーからの立ち上がりとゴールまでの感触を、丁寧に確かめていた。

スタートの時間が近づく。
選手は各々、普段しているように時間を逆算して準備に勤しむ。
選手達にもう一度、今日の走りについて確認を行う。
・今日のレースは目立つより、多くの賞金を持って帰ったチームが本当の勝者だということ。
・既にシーズンを終えたプロ選手より、疲れの少ない我々の方が若干のアドバンテージがあること
・他のチームの戦略がどうであれ、我々のやり方を変える必要は無く、真っ向勝負でいくこと。
・全ての学連選手の名誉を背負った戦いであること。
を意識させスタートラインに送り出した。

レース内容は中根・榊原が全開で走りぬけたことは周知のとおりで、その二人が動けないときには中西・小村・鍵本でカバー。
一度も後手に回ることのない素晴らしい展開でゴール勝負へ。
4番手で3コーナーへ進入した鍵本が他の選手と接触し落車。そこへ小村も突っ込み落車。
結局、中西だけがゴール勝負に絡み6位でレースを終えた。
最期は鍵本がスプリンターとして致命的なミスを犯したが、全体で見れば獲得賞金は10万円でブリッツエンと並ぶ2位。
素晴らしい結果といえる。

すばやく自転車を積み込み京都への帰路に着く。
車内では互いの健闘を称え合う選手達の会話が、なんとも微笑ましい。
京都に着いたのは12時を回っており、8時間の旅路であった。
普段選手達と移動を共にしない僕も、今回は監督らしく一人で運転をこなしたため、久しぶりに憔悴しきった。
選手達の素晴らしい走りがなければ、西宮名塩あたりで一泊することになっていたかも知れない。

車から降りていく選手達は、それぞれ短い期間のチームメートと別れを告げ、またライバル同士に戻っていった。
この瞬間が、混成チームで得られる最高の瞬間だと、個人的に感じている。
きっと来シーズンの為の糧になることだろう。

今回招待していただいた『ツールド福岡』主催者、ならびに西日本学連には、このような機会を与えていただいたことに感謝申し上げます。
また、選手達の派遣に対し、快く承諾いただいた各大学関係者にも感謝申し上げます。

京都産業大 自転車競技部 監督 秋田 謙


結果
クリテリウム プロレース 30周43.5km
1位 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) 1時間02分50秒
2位 辻善光(宇都宮ブリッツェン
3位 向川尚樹(マトリックスパワータグ) +1秒
4位 山本元喜(鹿屋体育大学) +2秒
5位 山根理史(湘南ベルマーレ
6位 中西重智(西日本学生選抜、龍谷大学
7位 北津留翼(VC福岡)
8位 野口正則(鹿屋体育大学
9位 紺野元汰(湘南ベルマーレ
10位 岡崎陽介(CIELVO NARA PRO CYCLINGTEAM)

周回賞
5周目 永良大誠(マトリックスパワータグ)
10周目 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO
15周目 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO
20周目 榊原健一(西日本学生選抜、中京大学
25周目 中根英登(西日本学生選抜、中京大学

http://www.cyclowired.jp/?q=node/73043