修善寺オープンロードレース


晴天の下行われた修善寺オープンロードレース。
日本サイクルスポーツセンター1周5kmを20周走る,選手本来の力が試されるコース設定です。

2日間を調整に当て自転車に乗っておらず,サドルにまたがると懐かしい気持ちと不安な気持ちが交錯しました。
湊は会場までの10kmのウォーミングアップであっぷあっぷでした。

各々レース展開を予測し自分の持てる力を十二分に発揮する作戦を思考していました。この過酷なレースに立ち向かうためには適切な場面での食料補給が肝心である事を理解し,自らのタイプに適合した補給食を携えてスタート地点に邁進して行く選手の背中は以前にも増して大きく見えました。

スタート地点に着くと皆緊張の面持ちで来たるレースを待ち構えていました。
そしてついにレースが開幕します。
1周目のローリングスタートが解除されると同時に,全日本大学対抗自転車競技大会(インカレ)前年度覇者である東京大学 西園良太選手による強烈なアタックが勃発しました。
それに反応したのは国内有力実業団チームであるブリジストンアンカーの3名,日本大学エース越海選手,全日本学生ロードレースシリーズリーダージャージ着用の中央大学スーパールーキー笠原選手,そして京都産業大学のエースとして君臨する木守望選手という逃げ切りが濃厚な豪華な布陣でした。

そのためかメイン集団が牽制に次ぐ牽制が頻発する中でも,平野は積極的に集団のペースを作っていました。その中で逃げグループに送り込めていない早稲田大学勢がペースアップを図り,追走集団の形成に成功しました。次いで吉岡が数人での逃げを決めました。
そのままレースが展開するかに思えたその時 メイン集団を走行していた僕たちの目に写ったのは信じがたい光景でした。

秀峰亭。

そこにあったのは疲れ果てた昨年度学生個人戦ロード,トラック覇者 木守望選手の姿だった。
木守さんのその姿は見るからに本来の走りでなく,精彩を欠いてました。心も体も打ちひしがれている様子を目の当たりにした集団内に衝撃がほと走りました。

木守さんの脱落。

この予期せぬ最悪なる事態を受け居ても立ってもいられなくなった僕は渾身の力をペダルに伝達させる事のみに集中しました。
なかなかペースの上がらない集団を置き去りにし残りを少人数での集団で走破する事を決意しました。順調にペースを上げる僕たちの集団は吉岡を含む第3集団を捕らえました。
暫くして振り返るとそこには京産大のジャージを身にまとったのは紛れも無く木村でした。
単独で追いついてきた強靭な足とその勇気には京産大の未来を垣間見る事ができました。

しかしこれまでの負担が大きかったのか吉岡,木村,共に目の前から姿を消すという惨事が起こりました。 そんな中僕はインカレ総合連覇中の日本大学4名と共に遥か先のゴールを目指しました。
さぞかし滅多な光景だった事でしょう。

いよいよ100kmに渡る長丁場のレースも終幕を迎える事になりました。 最終周。僕の今持っている全ての力を放出し,ゴールラインを駆け抜けました。
そして次々とゴールするメイン集団の先頭を走っていたのはあの調子の悪かった湊でした。
次いでゴールしたのは1周目から動いた廣浦。直後ゴールラインに飛び込んだ山森。本来登りを得意としない彼がこの修善寺という舞台で遺憾無く存在感を発揮しました。

終わってみると今シーズンの行方を左右する3回生が完走という最低限の仕事を完遂しました。
木守さん,平野,木村,吉岡は完走こそならなかったものの次に繋がる思い切りのいい走りをしていました。


三回生 丹後