U23 欧州遠征 レポート イタリア編

吉岡直哉

8月16日(金)

gran premio capodarco レースレポート

結果 DNF

イタリア最終戦。今回の欧州遠征では、最も規模が大きくレベルの高いレースです。

コースはパレードの後、海岸沿いから市街の平坦周回を4周し、登り周回6周、パヴェ区間あり急勾配登り周回2周の総距離180キロで行われました。

レーススタートし、海岸沿い区間では砂と風が酷く感じられうまく他の選手を風よけに使いながら走る。


市街の直線では、毎回通行する車があるため、動くパイロンのようで毎周不定期に移動し少し危険な場面もあった。
平坦周回をこなし、登りへ。登り口で、すっと前にでて集団先頭にでる。逃げが決まっていたため、ペースをあげようとする者が少なく、1キロ程先頭でペースをあげる。一周目は、先頭で走る事もでき、かなりの好位置で走る事ができた。
前にブリッジをかけようとひっきりなしにアタックがかかるが、集団のまま少しずつ差がつまっていった。

しかし、二周目以降、ほとんど登りでは集団中程か後ろにしかおれず、前にいけても後ろに下がるを繰り返す。 そしてペースも上がり、ラスト2周の登り手前の下りで完全に千切れてしまった。

そのまま単独で急勾配パヴェ区間を迎えると、人で道が塞がれてる…

まるで休日の新京極のような人だかり。

え?と思いながらも走り続けると観客が自分に気付き熱狂的な応援を始めだした。一本の道が出来上がっていく。

まるで自分がトップで来たかのような声援と人でできた道。沢山の人に押されながら、こんな応援されるのはもしかして自分が周回を間違えて一周早く来て先頭と勘違いされてしまったのか?など考えながらパヴェ区間を乗りきった。日本では千切れた選手にまでここまで熱狂的な応援はまずしない。選手も観客も、何もかもが熱すぎるよヨーロッパ…

しかし、その区間を越えると対象的に誰もいなかった。今のは何だったんだろうかと冷静になりきれていない頭で思いながらも、単独で前を追いかけた。

しかし、途中の交差点で、おじさんが、向こうだ向こうだと言って来た。しかし、違うんじゃないか?と疑問に思ったが、自信のなさが少しあり、自分はそっちのほうに行ってしまった。しかしそれはコースとは違う道で引き返したが、大きなタイムロスになってしまった。
おそらく、おじさんは、近道だと言っていたのだと後から考えてわかった。
致命的なミスをおかしてしまったことは非常に申し訳なくおもいました。

もっとしっかり、言葉を勉強しなければなりませんでした。

半泣きになりながら一人で走る。

観客であろうサイクリストとすれ違う。


前の周まで人だかりだったパヴェ急勾配区間を一人で抜け、ゴールに向かうと、何処かで聴いた事のある音楽が流れてきた。何の曲かは忘れたがエンディングで流れてるような敗者には哀しくなる曲だった。

紙吹雪が路面に散っている。


レース中コンタクトが片方吹き飛んでいったからか、涙かわからないが、ぼやけて焦点が定まらない目でゴールラインを見たがちょうどそこには人だかりができていた。

大掛かりな音響からは新しいチャンピオンを祝福する声が鳴り響いている。

ゴールライン真横には表彰台がある。

ゴールラインには人だかりがある。

ゴールライン手前には、ゴールラインを踏めない自分がいる。


誰にも見られないまま、気付かれないまま、そんなとこに突っ立ってるなと邪魔者扱いされながら、人をかき分けゆっくりと愛機ジェニックスと共にゴールラインを踏んだ。

自分は結局レースのオマケでしかなかった。

戦える自信があり、前半調子が良かっただけに、悔しかった。

自転車競技は非常に危険であり、勝つ事も難しく、過酷な競技である。Xスポーツ的な要素が必要な部分もあると思う。
だから面白い。だから勝ちたい。だから勝利と言うモノは尊い

自分は生きるために勝つのではなく、勝つために生きている人間でいたい。

勝利とはなにか?

レースでしたたかな作戦で勝っても自分にとっては本当の勝利じゃない。

己の力を出し切り、振り絞り、ボロボロになるまで戦い、そして勝つこと。自分が勝った。相手に負けたと思わせないと意味がない。勝利ではなくなる。

そういう争いを自分はしたい。
このレースでそういう争いをしたかった。
しかし、できなかった。


本当に悔しかった。


自転車競技の勝利への困難さ、過酷さを改めて理解し、宿に戻った。

宿に戻りシャワーを浴びると、すぐにフランスへ向けて移動した。浅田さんに運転して頂き、500キロほど走った所で一泊した。



今回のイタリアでは非常にレベルの高い練習ができ、レースができた。DNFであったが得られるものがなかったわけではなかった。

しかし、日本を代表してこの遠征に参加させて頂いている以上結果をだすのが当然である。

フランスに戻り2日後に最終戦があるので、必ず結果をだします。


今回のイタリア遠征でサポートして頂いた、Team NIPPO の大門監督、斉藤さん、大西さん。練習に参加させて下さった、内間さん、アレドンドさん、中根さん、本当にありがとうございました。
とても良い経験になりました。

終戦頑張ります!