今更ですが、学生選手権クリテリウム大会レポートです。

国体の雰囲気冷めやらぬ中、滋賀県東近江市で学生のクリテリウムチャンピオンを決める試合が開催されました。

京産大からは部員11人全員での出場。

出場する選手中、来期全国大会に出場できるカテゴリー2を確定させている選手は6名。

その6名でレースを戦い、残りの5名は来期のカテゴリー昇格を狙う戦いとなった。

レースは予選・決勝があり、全体を通してポイントレース形式で行われ、予選は0点でも上がれることは毎年の恒例。

予選通過ギリギリの選手たちには点数獲得よりも、メイン集団に残る事を意識させる。

予選の走りを見た感じ、黒枝選手と中根選手の走りは盤石に思われた。二人のコーナーワーク・スプリントは共にずば抜けていたように思える。

学連委員の仕事で思うように練習ができなかった中村を除いた10名が決勝進出。

決勝50名の内10名が京産大の選手となった。

決勝での走りは中盤までは個人が点数を取り合い、その中で優勝に一番近いものを周りの選手がサポートする作戦を言い渡す。

気温も上がりきる11時スタート。

序盤は鹿屋大の黒枝選手が力を見せる。国体では不甲斐なかったと反省する吉岡も積極的に点数を重ねる。

序盤の3回ポイントを終了し黒枝選手が12点、吉岡選手で8点という流れの中、中京大の2人が満を持して勝負にでた。

榊原選手と中根選手の強烈なアタックに反応できたのは鹿屋大のスピードマン高宮選手のみ。直前にスプリントで5点を取った吉岡はこれを見逃してしまう。

吉岡はここで絶対にこの二人を逃がしてはいけなかったし、チームも誰かがすぐに追走に移らなければいけなかった。

二人は強力に先頭交代を繰り返し、京産大が引く集団からリードを広げる。

しかし、前を行く高宮選手に対する鹿屋大の指示は『待て』の声。

もう学連の試合が残り少ない4回生が入ったエスケープに対し『待て』の声がかかり、高宮選手は先頭交代には一切加わることなく5点を獲得した。

いったんスイッチの入った中京大コンビはお構いなしに先頭を引き続け高宮選手は5点を重ねていく。

さらにスプリントで榊原選手がちぎれたこともお構いなしに中根選手は先頭を引き続け、高宮選手に5点をプレゼントしていた。

一方、後続では鹿屋大から黒枝選手に前へのジャンプアップが命ぜられる。

前で高宮選手が引かないのを見た僕は少々感情的になり、鍵本に黒枝選手徹底マークを命ずる。何があっても後を離れるな!だ。

中根選手に『もう少し状況を考えろ!このままでは負けは見えてるぞ!!』と声を投げかけたところ、一気に踏むのをやめてしまう。

そこへ後続から追走グループが追いつき10名程度の先頭集団になった。

ここには先ほどの黒枝選手はいない。絶好のチャンスだ。しかし、追走で選手を失った京産大も吉岡1人しか入っておらず、吉岡が7点を加点したのち集団は牽制し黒枝選手が追いついてきた。

この時点で手元の集計(IPU監督塩原氏による)は高宮・吉岡15点、黒枝・中根12点だったが、放送では黒枝・高宮15点、吉岡12点と流れる。

(塩原氏による)手元の集計を信じながら吉岡に最後のスプリントが勝負だと言い聞かせた。

残るポイントは2回。前には5〜6名の最後の勝負にでた集団が数を減らしながら逃げている。

最終ポイントに向けて位置争いをしながら先行する選手たちを吸収していく。

黒枝選手には鍵本が位置取りで対抗しているが、今の鍵本では好調の波に乗る黒枝選手には対抗しきれず、吉岡の後ろを取られてしまう。

最終コーナーで先行していた選手が落車してしまうが、吉岡も黒枝選手も上手くかわし、逃げ続けた日大の和田選手の後ろで2位黒枝・3位吉岡でゴール。

(塩原監督による)手元の集計では吉岡の優勝だが、放送では高らかに黒枝選手の優勝をアナウンス。


それから30分後、吉岡の優勝が放送され半信半疑だった吉岡もようやく笑顔を取り戻した。

中盤、高宮選手がポイントリーダーになった時点でエースを黒枝選手からスイッチしていれば、高宮選手の優勝はほぼ間違いなかったと思われる展開だった。
しかし、鹿屋大には『黒枝選手の3位以内』という絶対条件が出ており、そうはならなかった。そこで色気を見せない高宮選手のチームを尊重した走りに称賛を贈りたいし、黒枝選手もプレッシャーの中で素晴らしい走りだった。   が、しかし僕はそういうのは好きではない。いろいろあるだろうが前にいる選手が勝負するのが当たり前だと思っている。



インカレからずっと成績が出ず、前半の活躍が一過性のものだったと思われがちのところへ、吉岡が会心の勝利を挙げてくれた事が本当に嬉しかった。

谷口も良く集団を牽引してくれたし、鍵本も指示を良く聞き黒枝選手にプレッシャーを与えてくれた。国体の疲れを引きずる木村は集団にいるだけで周囲に安心感を与えてくれた。

南野も完走できなかったが途中集団牽引に加わるなど成長を見せてくれた。アメリカ帰りの戸祭は本当に進歩した走りだった。

一方、実力を出し切れなかった渡邊は残念だった。周囲に惑わされず、いつでも自分の走りができるようになってほしい。

服部は北海道の怪我より復帰間もなく大した走りができなかったのだろうが、もう少し頑張れ!

田中・明石お前らもっと頑張れ!


秋田