6月27日(水) 晴れ
メンバー 服部さん 木村さん 吉岡さん 南野さん 鍵本さん 中村さん 渡邊 戸祭 田中 谷口
距離 110km 
時間 4時間30分


コース 京見峠‐栗尾峠‐周山街道‐深見峠‐美山1周回‐周山街道国道477号花背峠‐大学


「平地での追い込み。それこそが今日の練習のすべてだ」
谷口は今日の練習が始まる前に私にそう言ってくれた。彼は今週末のJICF(日本学生自転車競技連盟)の第53回 全日本学生選手権トラックで4kmIPに出場予定であり、前回の伊豆ベロドロームで出した自己ベストタイムが彼の実力だった事を今回のレースでもう一度証明すると言う。
そして6月28日の出発前日の練習の後に谷口に最後の練習の内容について話を聞くことができた。





今日の練習メニューはいつもと同じでしたか?
コースもメニューもいつもと同じだったよ。ただ、前日にキャプテンから明日は琵琶湖でメディオをして比叡山でインターバルをすると言われていたから出発前に美山に変更になった時は今日何をすべきなのかを一瞬見失ったね。でも美山はいつも走ってるコースだし、今日どんなメニューで走らないといけないかはすぐに分かったよ。




それはどんなメニューでしたか?
まず最初にウッディ京北(サンダイコー)から深見峠の頂上までメディオをするって言われていたから週末のトラックに向けて京見峠の登りでは脚を使わずに平地のメディオですべてを出し切るつもりで走ったよ。だからメディオの平地ですごく追い込めたし、深見峠からの下りも足を回しながら高速で下れたからそこまでは自分の予想通りの展開だったね




そこまではと言うことはその後に何かあったのですか?
それからは最悪だったよ。休憩をしてから2列のローテーションで回しながら走っているのに僕の脚は思うように動かなかった。前に出ても流しのペースを維持するので精一杯だったし、実際最後は付位置だった。そして北桑田高校の手前の登りでとうとう千切れてしまったんだ。
それから集団は周山街道から国道477号線に向けてウッディ京北(サンダイコー)を回らないショートカットコース(小さな峠)を越えて行ったけど、僕は千切れていてそれを見落としていた。その時僕に見えていたのは200mほど先を走っていたチームメイトの戸祭だった。
その戸祭がショートカットコースの交差点を曲がらずに進んだから僕もそのまま進んでしまったんだ。そして戸祭に追いついてみると、本人もどちらに行くのか分かっていなかったらしく、僕達2人だけウッディ京北(サンダイコー)まで大きく遠回りをすることになったんだよ。
そして峠越えの道と合流したあたりで戸祭が僕から千切れたんだ。たしかその時は30㎞位のペースだったし千切れるなんて僕は思ってなかった。でも戸祭の足はすでに限界だったんだ。だから僕は彼と話合って僕だけ先に行くことにした。




1人で走ることは最初は予想していなかった事ですがどう対処したのですか?
とにかく今日は平地と言う平地をできるだけ追い込みたかったから1人になってからは逆に追い込めるチャンスだとポジティブに考えて走ったね、だから僕1人で今どこに居るのか、どんなペースで走っているのか、追いつけるのかも分からないメイン集団を自分の頭の中の地図と時間で予測しながら追ったんだ。
でも、それからはさっきまでの足の重さが嘘のように走れたんだ。ずっと1人で速いペースを維持しながら花背峠の下まで平地を走ることができたし僕が思っていたタイムよりもずっと早く花背峠の下に着いた。でもそこに集団の姿は無かったんだ。
でもここまで来てやめる訳にはいかないと思って、いつもならゆっくりダウンをしながらインターバルを始める場所まで登るところをインターバルを始める地点までずっと17km〜20kmのハイペースで登ったんだ。正直100km近く走った最後に登る9㎞は心が折れそうだったよ。
それも集団から千切れて、遠回りをして、1人で8人のローテーションで走るチームを追いかけて、前の集団の背中の一つも見えなかった。そして前の集団とどれくらい離れているか分からない状況でただひたすら全力で前を追っている時に「これだけ全力で走ったのに追いつかなかったらどうしよう」って考えたんだ。でも、追いつける気がした。
それは追い始めた時から感じていた。今日はどんなに離されても追いつけるってね
だから僕は諦めずに全力で見えない集団を追い続けたんだ。
そして花背峠のインターバルを開始する地点でやっと南野さんの背中が見えたんだ。その時は砂漠でオアシスを見つけたような感動だったね。
それからは僕もインターバルのレストを利用して差を詰めていって、花背峠の頂上では4人と合流した。そして下りで2人と合流して先に行ってしまった木村さんと服部さんには大学で合流したんだ。




その時どんな気持ちでしたか?
素直に嬉しかったね。だって追いかけて追いついたんだから100点だよ。これで追いつけてなかったら今ごろ部室の端でくたばってるね。




そんなに追い込んでも週末の4kmIPに支障は無いのですか?
僕も帰ってきてからこのままだと明日から脚が動かなくなると思ったから部室に帰ってからローラーでクールダウンをして、トレーナーさんの所で足から背中、腕、肩までマッサージをしてもらって帰ったよ。お陰で今回のメニューの割に筋肉へのダメージは少なかったから明日少し足を回して1日休めばいいんじゃないかな?




最後に今週末への意気込みをどうぞ
思っているタイムが今回出るかは分からないけど、団抜きとかも今後走るかもしれないからしっかりとTTの走りを煮詰めてこれからも頑張るよ




今回彼に話を聞いて、日々の練習をどのようにしてレースに結びつけていくかを必死に考えている彼の姿が容易に想像できた。
そして、これからの彼の成長と成績を決める大事な部分であり、そのことは彼自身が一番よく分かっているだろう。
今週末に宮城県で行われるJICF(日本学生自転車競技連盟)の第53回 全日本学生選手権トラックはインカレ前の最後の学連トラックレースであり、彼を含め、京産のメンバー全員が集中していることは明白であり、そしてなによりこれからの京産の活躍から目を離せない。




インタビュー 谷口 武史
  選手    谷口 武史
 練習日誌 谷口 武史




1回生 谷口